加圧トレーニングのメリットとデメリット~体幹部分への効果と運用

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2018.08.11

目次

加圧トレーニングのメカニズム

「効率よく体を鍛えたい」という人にとって、「加圧トレーニング」というトレーニング方法は非常に有用なものです。今回はこの「加圧トレーニング」について取り上げます。この加圧トレーニングは、腕や足(特に太もも)をベルトで締め上げて行うトレーニングです。これによって、血液の流れを阻害します。

本来血液は、心臓から出され末梢部に至り、そしてまた心臓に戻っていきます。加圧トレーニングを行うと、「心臓から出ていく血流」にも影響がありますが、「戻ってくる血流」がより影響を受けます。ベルトで物理的に締め上げられているため、血液の戻りが非常に悪くなるのです。

血液は、人の体に栄養を供給し、また老廃物を回収する役目を担っています。しかし血液の流れが阻害されたり、体が追い込まれて疲労がたまったりすると、私たちの頭は「これは危険な状態だ」と感知します。このため、体を適切な状態に維持しようと成長ホルモンをよく分泌するようになります。

この「成長ホルモン」が、筋肉を育てるのです。このようなメカニズムを持っているため、加圧トレーニングは非常に効率のよいトレーニング方法として知られるようになりました。現在では、これを専門とするジムなどもたくさん運営されています。

メリット

加圧トレーニングのメリットは、上記でも触れたように、「わずかなトレーニング量で最大の効果を得ることができる」という点にあります。非常に疲労感が強く出るトレーニング方法ではありますが、成長ホルモンを多く分泌するため、筋肉を育てることにとても役立つのです。多くのプロ選手なども取り入れられている方法であり、近年特に注目を浴びるようになりました。

また、もう一つ、加圧トレーニングには大きなメリットがあります。それが、「実は『けが』をしにくいトレーニング方法である」ということです。筋肉を鍛える運動は、しばしば「けが」と隣り合わせです。もちろん、きちんとした準備運動、きちんとしたフォーム、基本に忠実なトレーニングのやり方を守ることでそのリスクを軽減することはできます。

しかし、自分に見合わない高負荷のものを扱ったり、フォームが無意識のうちに崩れていたり、疲労がたまりすぎていたりしていた場合、人は容易にけがをします。特に「靭帯(じんたい)」は、あらゆる種類のトレーニング、あらゆる部分のトレーニングにおいて、もっとも痛めやすい部分です。

運動に相当慣れている人であっても、非常によく壊す部分です。しかし加圧トレーニングの場合、高負荷のものを扱わずとも、低負荷のものでも十分な運動になります。このため、正しく行えるのであれば、加圧トレーニングは非常にけがをしにくいトレーニングだといえます。

デメリット

ただし、加圧トレーニングにもデメリットはあります。それは、「加圧トレーニングというトレーニング方法は、極めて危険性が高いトレーニングである」ということです。上では、「加圧トレーニングはけがをしにくいトレーニングだ」としたのに、「危険性が高い」というのは矛盾しているように思えるかもしれません。

しかし、加圧トレーニングはたしかに「正しい状態で」行っているのであれば極めて安全なトレーニングですが、少しやり方を間違えるだけで、重い障害をもたらしかねない運動に早変わりします。加圧トレーニングは、「本来行き来すべき血液を物理的に流れにくくする」というトレーニング方法です。そのため、酸素や栄養が各細胞に届きにくくなります。

少し間違えたやり方をすると、細胞の壊死さえも招くトレーニング方法なのです。このように、加圧トレーニングは非常に特殊なトレーニング方法だといえます。現在は家で行う加圧トレーニングなどもよく取り上げられていますが、安全面を考えるのであれば、ジムなどで専門のトレーナーの監修のもとで行うのが原則です。

正しいやり方を教えてもらえますし、万が一のことがあってもすぐに対応できます。また、自宅で行いたい場合は、まずは専門家のトレーナーに教えを仰ぎ、十分に知識とやり方を学んだ後に、そのやり方を忠実になぞって行うことが何よりも重要です。絶対に自己流で行ってはいけません。

加圧トレーニングで体幹を鍛える

加圧トレーニングは、上記でも述べたように、腕や太ももにベルトを着け、血流をコントロールして行うトレーニングです。このため、腕や足の筋肉を鍛えることに非常に向いています。

また、「腕や足に巻き付けて行うものなのだから、体の幹(体幹・たいかん)を鍛えるためには役に立たない」と思う人もいるかもしれません。

しかし実は、加圧トレーニングは体幹部分のトレーニングにも効果を示します。この理由を説明するうえで役に立つのが、上でも述べた「血液は心臓から出て、心臓に戻ってくる」というメカニズムです。

体の末端部分にいく血液をコントロールした場合、「心臓に戻ろうとする血液」もコントロールされます。これは「心臓部分に戻ってくる血液をコントロールすることができる」という意味も持ちます。

腕や足を縛って血液をコントロールすることで、体幹部分の血液のコントロールができるようになるわけです。このため、体幹部分を直接ベルトで締めなかったとしても、腕や足を鍛えるときと同じ効果が見込めますので安心してください。

加えて、この「(腕や足などを締めて)体幹部分を加圧トレーニングで鍛えること」には、加圧トレーニングではない、ほかのトレーニングでは得られない効果が見込めます。

それが、「低負荷のトレーニングであっても、十分な効果を見込める」ということです。体幹部分のトレーニングは、一般的に、負荷をかけきるのが難しく、効率的に鍛えていくのが少し難しいものでもあります。また、「そもそもハードな運動ができない!」という人も多いことでしょう。しかし加圧トレーニングは、このような悩みもきれいに解消してくれます。

加圧トレーニングは「血液をコントロールして疲労を得やすくし、成長ホルモンを出させる」というトレーニング方法です。このため、低負荷が中心となる体幹部分のトレーニングであっても、一般的なトレーニングとは比較にならないほど効率よく鍛えていくことができるのです。たとえば、「バランスボール」です。

これは体幹部分の「バランス」を鍛えるために非常に有用なトレーニングアイテムですが、これは比較的低負荷の運動に向いているアイテムです。しかし加圧トレーニングと組み合わせれば、これも体に高負荷をかけられる運動に早変わりします。「運動が苦手なので、腹筋を何回も行うことは難しい」という人であっても、バランスボールと加圧トレーニングを組み合わせることで、高い効果を得ることができるようになるのです。

加圧トレーニング用のベルトで腕を縛りバランスボールの上にあおむけになったり、バランスボールで足を鍛えたりしていきましょう。無理なく、しかも効率よく体幹部分を鍛えることができるため、短時間でありながら、非常に効果的な運動ができます。

ここでは一例としてバランスボールを取り上げましたが、加圧トレーニングと組み合わせられる運動は、ほかにもたくさんあります。

加圧トレーニングは、正しい知識、基本に忠実なやり方を必要とするものです。そうでなければ、後々まで響く障害を招きかねません。しかし正しく使うことができれば、腕や太ももだけでなく体幹部分をも効果的に鍛えていくことのできる方法だといえるでしょう。

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